昆布だしのお味噌汁、やさしい旨味の煮物。
和食の「おいしい」の土台になっているのが、昆布に含まれるうま味成分(グルタミン酸)です。

一方で、ここ数年よく耳にするようになったのが、
「昆布だしはヨウ素(アイオダイン)が多すぎて危険らしい」という不安の声。

ヨウ素(アイオダイン)とは:
甲状腺ホルモンの材料になるミネラルの一種。
からだの代謝や成長に関わる“ちょっと重要な微量成分”です。

昆布だし=危険?それとも健康的?ゆれてしまう理由

1. 「和食は健康にいい」のに「昆布は危ない」と言われる矛盾

少し前まで、「和食=ヘルシー」の象徴として挙げられていたのが
昆布だし・かつおだしを使う食事でした。

ところが最近は、海藻に含まれるヨウ素の量に注目が集まり、
「毎日たくさんの昆布だしを飲むのは良くないかも」
といった情報も目にするように。

2. 心配されているのは「不足」ではなく「摂りすぎ」

昔はヨウ素不足が問題だった地域もありますが、
日本のように昆布・わかめ・ひじきなど海藻をよく食べる国では、むしろ
「気づかないうちに摂りすぎていないか」が話題に上がりやすくなっています。

3. 特に意識しておきたい人もいる

甲状腺の病気がある人や、妊娠中・授乳中の人など、
ヨウ素の量について特に注意が必要とされるケースもあります。
不安がある場合は、自己判断で極端に増減させる前に、かかりつけ医に相談するのが安心です。

ヨウ素は「悪者」ではない。足りなくても多すぎても困る存在

1. ヨウ素は何をしているミネラル?

ヨウ素は、甲状腺ホルモンの材料として使われます。
甲状腺ホルモンは、からだの代謝・体温調節・成長など、ベースの働きを支える存在です。

つまり、ヨウ素は「とってはいけない成分」ではなく、
「足りなくても多すぎても困る」バランスが大事なミネラルです。

2. 昆布はヨウ素が“とても豊富”な食材

海藻の中でも、とくに昆布はヨウ素を多く含む食材として知られています。
昆布そのものを大量に食べると、ヨウ素を一気にとりすぎる可能性がありますが、 実際には「だしとして、どれくらい抽出されるか」がポイントになります。

3. 抽出時間や厚みで”だしの濃さ”が変わる

昆布だしにどれだけヨウ素が溶け出すかは、ざっくり言うと

  • 昆布の量(厚さ・種類)
  • 水の量
  • 浸す時間・火にかける時間

などで変わります。日常の料理では、
「必要以上に濃いだしを毎日がぶ飲みしない」ことが、安全側に寄せるコツになります。

昆布だしとヨウ素の“ちょうどいい距離感”をつくるコツ

1. 昆布だしは「少量を毎日」より「日替わりで楽しむ」

ヨウ素は、昆布以外にも海藻類や一部の加工食品など、いろいろな食材から入ってきます。
そのため、昆布だしだけで毎日補おうとする必要はありません。

負担を減らすアイデア
  • 昆布だしの日・かつおだしの日・椎茸だしの日…とローテーションする
  • 朝も夜も昆布だしにするのではなく、どちらか片方にする
  • だしは濃くしすぎず、「香りと旨味がほんのり感じられる程度」を目安に

2. 昆布を「そのまま食べる量」は控えめに

昆布の佃煮やおしゃぶり昆布など、昆布をそのまま食べる商品もたくさんあります。
だしと違い、昆布を丸ごと食べる=ヨウ素をそのままとるイメージになるため、
食べる量や頻度は少し意識しておくと安心です。

3. 甲状腺に持病がある人・妊娠中は自己判断で極端に増やさない

甲状腺の病気がある人や、妊娠中・授乳中の人は、ヨウ素の量について
医師や管理栄養士から具体的なアドバイスが出ていることもあります。

「健康に良さそうだから」と自己判断で昆布を増やしたり、
サプリメントでヨウ素を上乗せするのは避け、専門家の指示に沿うようにしましょう。

安心感のある昆布だしの取り方と、旨味アップの工夫

1. 昆布だしは“薄め+合わせだし”がちょうどいい

「だし=濃ければ濃いほど良い」と考えがちですが、
旨味は重ねることで感じやすくなります。

  • 昆布を少なめにして、かつお節や干し椎茸と合わせだしに
  • 昆布を長時間ぐつぐつ煮続けず、「ふつふつ手前」で火を止める
  • 水出しにして、必要以上に長く置きっぱなしにしない

2. 昆布だしの“二番だし”も上手に使う

一番だしをとった後の昆布を、もう一度水に浸して火にかければ、
風味は弱くなりますが、まだだしとして使うことができます。

一番だしはお吸い物や汁物に、二番だしは煮物・炊き込みご飯に…というように、
濃さを使い分けると、昆布1枚あたりのヨウ素量も自然と分散されます。

ヴィーガンにもおすすめの「昆布×野菜」旨味コンビ

1. 昆布+干し椎茸+野菜くずで「丸ごと野菜だし」

動物性食材を使わないヴィーガン料理では、昆布はとても頼りになる旨味の源です。
とはいえヨウ素が気になる場合は、昆布単独ではなく、野菜や椎茸と組み合わせるのがおすすめです。

  • 昆布少量+干し椎茸+玉ねぎの皮・にんじんの端などを水出しに
  • 冷蔵庫の野菜くずと一緒に軽く煮出して、スープベースに

昆布の量を控えめにしても、椎茸や野菜の旨味で、満足感の高いだしになります。

2. 昆布を“食べる”ときは、量と頻度を意識

ヴィーガンでカルシウムやミネラル補給のために昆布をよく食べる、という人もいるかもしれません。
その場合は、ひじき・わかめ・のりなど他の海藻とローテーションしたり、
昆布を毎日大量に食べ続けない工夫をすると安心感が増します。

まとめ:昆布だしは「上手につきあえば心強い味方」

この記事のまとめ
  • 昆布だしには、甲状腺ホルモンの材料になるヨウ素が含まれているが、ヨウ素自体はからだに必要なミネラル
  • 問題になるのは不足ではなく“摂りすぎ”であり、毎日濃い昆布だしを大量にとり続けるような極端なパターンは避けたい
  • 昆布単独ではなく、かつお節・干し椎茸・野菜だしなどと合わせて「薄めのだし+重ねる旨味」にするのが安心
  • 昆布そのものを食べる量や、佃煮・おしゃぶり昆布の食べすぎには少し意識を向ける
  • 甲状腺の持病がある人や妊娠中など、心配がある場合は自己判断で増やすのではなく医師に相談する

昆布だしは、使い方さえ気をつければ、和食のおいしさとからだのやさしさを両立してくれる存在です。

明日の味噌汁を作るときは、昆布の量や頻度をほんの少しだけ意識しながら、
かつおや椎茸・野菜と組み合わせた「やさしいだし」を楽しんでみてください。

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